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2050年 サイバネティク狂騒曲 第4回「第2章アバター時代3 第2大脳」

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

3 第2大脳 

第2大脳追加

 意識は人体がある所ならどこにでも瞬間移動でき、国境という概念がなくなり、世界政府が誕生した。

 世界政府誕生後の山田たち、人体技術者の会話である。
「簡単な家事を行えるように改良した待機用ソフトを大脳の余っているところに入れたのは大成功だったな。大脳にはまだまだ余裕がある。本格的な家事ができるように本格的な家事ソフトを開発しよう」
「本格的な家事ソフトを開発するのなら、将来、家事以外の要求があった場合でもソフトの修正だけで対応できるように、待機基本ソフトも充実させたほうが良いかもしれないな。 人は気まぐれだ。いつどの様な不満を持つかわからない。政権も同様だ。支持率のためならどの様な人気取りの人体政策を出すかわからない。色々な要求に対しソフトの追加だけで簡単に対応できるようにシステムを大きめに作っておこう」
「今後世界の住民からどの様な不満が出るか、政権からどの様な[人体への人気取り政策]が行われるか、可能性のあるものは全て洗い出してみよう」

 要求される可能性のある機能を記した膨大な資料が作成され、担当技術部門に渡された。部門長の山田と担当技術者達は分厚い資料を見てため息を漏らした。全てを実行できるように基本ソフトを設計するのは大変な労力が必要になる。

山田を中心とした担当部門による対策会議が開かれた。
「膨大な仕様だ。今の大脳には入りきらない。これを実行できるようにするには複雑な設計が必要でオペレーティングシステムの変更も必要だ。要求内容にまとまりがない。今の大脳では絶対できない内容も多くある。まともに取り合っていたらどうにもできない。要求仕様の多くを満たせるハードウエアは大脳1個分必要だ。今の大脳の他に待機用ソフト専用の第2の大脳が必要だ」
「大脳製造装置の償却はとっくに済んでいる。材料費もほとんどかからず今ではただ同然に製造できる。大脳1個丸々使用できるのなら、オペレーティングシステムもすっきり構築できる」
「追加の可能性の高いソフトは予め作成し、動作しない状態で積んでおこう」
             
 山田は、家庭で使用する50億個の人体に[人体だけでほとんどの家事をこなすことのできる第2大脳]を追加する詳細な報告書を作成し人体製造省に提出した。
人体改造費用のほとんどが第2大脳追加作業に伴うもので、第2大脳自体のコストは非常に低かった。そのため、万一にも第2大脳が自我を持つ可能性をチェックする[最大能力調査][安全性調査]の調査対象にはならず、その点も付記した報告書を人体製造省が作成して政権に提出した。
ほとんど予算措置の対象にならないこの案件は、世界政府に簡単に承認された。外出中にほとんどの家事を人体が行う、画期的な人体改造についての内容が発表された。自宅で使用する人体のみが改造の対象で、改造に必要な第2大脳は世界政府が無償で提供し、追加作業の実費だけ改造希望者が負担する内容だった。
第1次改造希望者が募集され、1億人が応募し、1億体の人体に第2大脳が追加された。外出中に家事や雑用のほとんどが自分の人体によりおこなわれ、帰宅後家事に追われることがなくなった。この評判は口コミやネットにより世界中に広がり、最終的に全世界住民50億人ほとんどの人体に第2大脳が追加された。
 人体を装置として保有する法人からも第2大脳追加についての陳情が相次いだ。仕事が終わり帰宅後に残された人体は自動的に待機場所に戻るようになっていたが、第2大脳追加により、帰宅後残された人体が掃除や後かたづけを行うようになれば、大きな経費削減に繋がるからだ。

企業経営者からの相次ぐ陳情に対し、政権内で次のような議論を行った。
「自宅で使用する人体への第2大脳追加手術は大成功だった。世界政府の負担はほとんどなく、世界住民は大満足している。世界政府の支持率も急上昇した。政権誕生以来最大に成功した政策だった。帰宅後に行う雑用がなくなり、夫婦で共有できる時間が大幅に増加した。性行為のソフトの改善もあわせて、夫婦関係が大幅に良くなり、離婚率も桁違いに下がった。第2大脳追加がこのような大成功を収めたのは、何といっても外出中に家事がすっかり済んでいることだ。ただで優秀な家政婦を雇っているのと同じで、評判が良いのは当たり前だ。評判が良すぎて法人で使用する装置としての人体にも適用してほしい、との陳情も相次いでいる。これについては慎重に考えなくてはならない。第2大脳を追加して、多くのソフトを入れると、帰宅後に職場に残った人体が雑用や掃除なども行うようになり、清掃業者の仕事が減ってしまう」
「掃除や雑用だけの問題ではない。従業員帰宅後に、自立した人体が単純な組立作業を行うようになり、雇用の問題が生じる」
「単純組立作業なら今でもロボットが使われている。それと同じことでは」
「ロボットでできるような極単純な作業は端から従業員は行っていない。従業員が行っている組立作業はロボットではできないような複雑な作業だ。第2大脳を追加すると、人でないとできないような複雑な作業も終業後に自立人体が行なうことになる。それどころか従業員を解雇して、最初から自立人体だけで複雑な作業をさせるようになるだろう。今でも単純な作業は24時間体制でロボットが作業を行っている。そのような業種では、従業員はロボットの修理や作業管理だけを行っている。第2大脳を追加すると、ロボットの修理や管理業務も自立人体だけでできるようになり、従業員の職を奪いかねない。この問題は相当慎重に考えないと、急上昇した支持率が急降下しかねない」
「第2大脳を追加し、自立人体だけでできる程度の仕事は自立人体だけで行えるようにして、人でなくてはできないような新しい高度な産業を興したほうが良いのではないだろうか。そのほうが前向きの政策だ」
「高度な新規産業を興すことが重要なのは当たり前だ。問題は人と自立人体との能力の差だ。第2大脳を追加しても自我は持たないが、能力は人に近づく。人の能力の改良は法により厳しく規制されているので、自我を持たない待機状態の自立人体のほうが人より能力が上になるかもしれない」
「第2大脳の能力規制は必要だが、家庭の人体以外への第2大脳追加を全面禁止するのは現実的でない。現に違法に第2大脳を追加する業者も多い。特殊な接客業では、仕事で使用する人体にはいつも化粧や手入れが必要だ。出勤してから化粧を行うのは時間がもったいない。出勤後すぐに仕事ができるようにする要求は非常に高い。要求度は仕事の内容により異なるが基本的にはどの業種でも同じような要求がある」
「火山の避難小屋建築作業に従事する人からの切実な陳情もある。噴石がいつ飛んでくるかわからないので作業終了後すぐに帰宅したいが、あと片付けをしなくてはならない。自立人体だけであと片付けができるようになればこの問題は解決する。職場で使用する人体を、自宅で使用する第2大脳の有る人体と交換させ、本来自宅に有る人体で職場の後片付けをさせている業者もあるようだ」 

意識時代の始まり

 脳器に収納された脳は体を失い運動ができなくなったため、歳月と共にボケが加速してきた。
 脳が衰えると電脳がその部分の能力をカバーし、電脳はさらに進化してきた。人体にある大脳は意識データを電脳とやり取りしているので、大脳も同時に進化し、どこから見てもアバターには魂があるとしか見えないようになってきた。
 脳との軋轢のある電脳は、ますます脳と距離を置くようになり、やがて電脳は脳との交信を止め、命の主体は電脳となった。時間のかかる脳との交信が不要になったので、電脳は門限を廃止した。
 このように、自然淘汰的に脳は廃棄され、人類における命の主体は電脳となっていった。しかし脳とのやり取りが主な仕事だった電脳は、脳を失ったことにより存在理由が低下してきた。アバターの大脳の性能が向上したため[意識]はアバターに長くとどまるようになり、門限を廃止したことによりますます帰宅時間が遅くなり、ついに[意識]は電脳には戻らず、人体の間だけを移動するようにもなってきた。
[意識]は、空いている人体なら、どの人体にでも乗り移りアバターになることが可能であり、どの人体に乗り移りアバターになっても同じ顔、同じ声、同じ性格、同じ知的能力だが、その時に使用する人体の仕様によっては体格や運動能力が異なり、[意識]だけが生命の本質になった。こうして[意識]を主体とする新しい人類が誕生した。
 
 新しい人類の生活のための人体の改良やルール作りが行われた。その一環として人体に[より充実した性]を設けることにした。意識が電脳に有る状態では性は無関係だったが、体のあるアバター状態では性を充実したことによる影響は絶大だった。
 顔や声も一律30代に統一することが決まり、より人体を使用しやすくなり、活気が出てきた。個人所有資産の制度や戸籍制度もコロナ前と同様に整備され、自分専用の人体も購入できるようになった。性を充実したことにより自宅に男女の人体をそろえた[意識]のカップルが多くなり、[意識]が電脳に戻ることはなかった。放棄された電脳は意識データの無い、単なる超高密度、超大容量の特殊コンピュータとなった。

第2大脳が忖度

 このような議論を経て、世界政府は法人が装置として使用する人体にも第2大脳を追加できるように、一定の規制の下、許可することにした。
 各企業や法人から色々な要求があったが、それらの要求があることを前提とし、ソフトの動作を禁じる部分を書き換えるだけで全てのソフトが機能するように予定していた。
しかし共通性とソフトの管理の問題から、結論からいえば、禁じる部分のソフトをなくし全ての機能を使用できるというやり方で落ち着いた。必要以外の機能が盛沢山に入っているが、必要に応じてユーザーが機能を選択して使えば良いだけのことである。
最終的には、人がその人体を使用中に、「このことをやってもらいたい」と思うだけで、第2大脳がその内容を忖度し、沢山の機能の中から必要な機能を選択して使用するようになったのである。個々のソフトは単純なものだが、忖度するソフトはかなり複雑で人間くさいソフトである。

 新たに製造する第2大脳のソフトには、始めから忖度ソフトも組み込んだ。本人が自宅で所有する50億体にも忖度ソフトが追加された。最終的に世界中にある人体のほとんどに、機能が大幅に充実した新しい第2大脳が組み込まれた。

 忖度方式は大成功だった。政権が心配していた、[自立人体に仕事を奪われる、雇用の問題]は、忖度ソフトの導入により問題とならなかった。人である意識が使用した後の自立人体は、使用中に意識が考えていたことを忖度し、その意識が出て行った後に忖度した行動を取るようなったので、経営者が自立人体に命令し、仕事に従事させることはもともとできないからである。
 家庭で自分専用の人体を使う場合は、第2大脳は、使用者が考えていることを忖度し、外出中にその内容に沿った行動を行うようになっている。たとえば、やらなければならない家事のことを考えてから外出すると、外出中にその家事を全て片付け、片付け終わったら使用者が帰宅するまで待機している。
 会社でやり残した仕事がある場合には、その意識が人体から出て行った後、やり残した仕事を行って待機する。仕事が忙しく机の上が散らかっていて気にしていたら、机の上の整理を行い待機する。
 どの人体を誰でもが使えるが、その意識が人体から出て行った後に自立人体が取る行動は、毎日使用している人(意識)が気にしていることを忖度して、それを行う。
 このようになっていたので、第2大脳方式の評判は非常によく、この方式を取り入れた政権の支持率はますます上がった。
 しかし、まれにだが次のようなトラブルも発生した。
[仕事のやり方をめぐって同僚と喧嘩になり、怒りが納まらないまま帰宅した。一晩寝て、昨日の喧嘩のことはすっかり忘れて職場に出勤したところ、喧嘩した相手の机の上がめちゃめちゃになっていた] 
喧嘩してかっとなり、相手の机の上をめちゃめちゃにしたい衝動に駆られたまま帰宅したので、その衝動を忖度した自立人体が起こした事件だった。
このような問題が時々起こり、この問題の対処方法について、[人体仕様変更プロジェクト]で対策の議論を行った。

「第2大脳を追加したことは大成功だった。忖度システムも大成功だった。ただし忖度システムが悪い方向に働くトラブルも出ている。今までは小さなトラブルで済んだが、力を持つものや異常性格者にシステムが悪い方向に忖度したら、大きな事件になる可能性がある。忖度システムについては何らかの歯止めが必要だ」
「力を持つもの、権力欲が大きい者が政治を動かしている。それはそれで当たり前だ。しかし権力者はある意味では言葉は悪いが異常性格者でもある。大きな権力を持つ異常性格者を忖度したら何をしでかすかわからない。人ならば冷静になり、考え直すこともできるだろうが……」
「先日の[机の上めちゃめちゃ事件]がまさにそれだ。人(意識)ならば喧嘩しても時間が経てば冷静になり、相手の机の上をめちゃくちゃにすることなどない。机の上をめちゃくちゃにしてもたいした事件ではないが、地球をめちゃくちゃにされたら大変だ」
「人と同じように時間が経てば忖度度が薄れるようにするのはどうだろうか」
「単純なソフトの修正で行うと、時間が経てば家事もしなくなってしまう。忖度する内容に応じたソフトを作らなければならない。かなり複雑なソフトの開発が必要だ。かなり人間的な要素を加味して開発する必要がある」 

 プロジェクトは、[第2大脳に各種機能を加えたことは使用者に非常に評判が良かったこと、忖度ソフトの導入により使用者がやり残していたことや気になっていたことを忖度し、それらのことを使用後の自立人体が単独で行うことなどの利点]と、[この忖度ソフトのままだと、使用者が激しい怒りを覚えたまま人体から離れると、激しい怒りを忖度し、取り返しのつかない事態が生じる可能性があり、この点の改善が必須なこと]を報告書にまとめ、人体製造省に報告した。
 この報告を受けた人体製造省は、改善に必要な概算費用を添付して政権に報告した。第2大脳の機能強化により大幅に支持率が向上した政権は、人体仕様変更プロジェクトに全幅の信頼を寄せており、忖度ソフトの改良を承認した。
 この承認を受けてプロジェクトは改良内容について議論した。
「問題は怒りなどの場合、意識が大脳から出て行ったのち、自宅の本人(意識)の怒りは次第に納まるが、第2大脳は[意識が大脳から出て行く直前までの怒り]をそのまま忖度し続け、そのまま実行してしまうことにある。怒りなどの強い感情の場合、大脳と同様に冷静さを取り戻すようにしなければならない」
「第2大脳にも人間らしい機能が必要だ。根幹部分のソフトは大脳と同様にする必要がある。無論、第2大脳が自我を持たないようにしなければならないが、それは簡単にできる。根幹部分のソフトを大脳と同じにすれば、感情が自然と静まるようにできる」
「内容によっては全てを解決することはできない。個々のソフトの調整が必要だ」
「ソフトは全人体共通仕様にするのが大原則だ。ソフトを個々に調整することはできない。大きな問題に直面したら、第2大脳自体が脳内のソフトを修正するような、自動ソフト作成機能を取り入れよう」
 このような議論を経て、第2大脳のソフトは大幅に改良され、全人体の第2大脳に再改良ソフトがインストールされた。

 これは大成功だった。家事や、やり残した仕事など、やらなくてはいけないことは、人なら面倒くさいと手抜きをする場合もあるが、第2大脳は忠実にそれを実行する。感情的な事柄は、怒りなど普通の人なら徐々に納まるところは、第2大脳も同様に徐々に納まる。逆に状況により一部の人ならエスカレートする感情も、第2大脳ならエスカレートしないで徐々に納まる。
 このように、忖度システムは大幅に改良され、しなければならないことは完全に忖度し実行し、激しい感情などは一時的に忖度しても徐々に感情が収まってくる。この点では人の脳である大脳より優れているといっても良い。
 また忖度ソフトの機能により、第2大脳は大脳が考えていることを絶えず分析するようになった。また、大脳がメモリー容量の2割程度を使用しているのに対し、自動ソフト作成機能を取り入れたことにより一部の第2大脳は8割程度を使用するようになってきた。 

問題が発生するたびに新規ソフトが自動作成され、使用者の考えていることを解読するソフトや、さらにその人の大脳を解析するソフトも自動作成されることとなった。

第2大脳の進化

 第2大脳ソフトを担当した山田らが考えていた以上のことが起こってきた。
使用者の考えを忖度し、使用者が帰宅した後にやり残した仕事を行うように設計したつもりだったが、自動作成プログラムが思わぬ方向に進化を遂げてきた。
 自動作成ソフトは、仕事のやり方に悩む、仕事のあまりできない人が使う人体ほど進化を遂げた。仕事の解決方法に思い悩んでいると、それを忖度し解決方法を見つけ、大脳に解決方法を教えるようになってきた。本人が気付くことはなかったが、第2大脳が進化することにより、難しい仕事も難なくこなせるようになり、無能な社員がだんだんに優秀になり、同僚を追い抜いていった。
 このような現象は大企業の中間管理職にとどまらず、各所で発生していたが、本人も、その周りの人も本人の努力の結果だと思っていた。
 次のような出来事も頻発するようになってきた。[ずば抜けて仕事ができるようになり、地方の営業所から本社へ栄転した。本社では当然本社にある人体を使用する。当然のことながら今まで使用していた人体とは違い、その人体の第2大脳には各種ソフトが自動作成されていなかった。周りから期待されて本社に栄転したが、全くの期待外れで、また元の営業所に戻った。戻ってから元の人体を使い、すぐにまたずば抜けた仕事ができるようになった] 
 また第2大脳が発達した人体を使用することにより、職場では仕事がバリバリできたが、自宅に帰ると頭がさえずそのギャップに違和感を持つ人も多くいた。当人は、[使用している人体の第2大脳の状態が異なることに起因する]ことには全く気付かず、職場に行くと[仕事モード]になるためだと思っていた。
 
 意識が会社に送信され人になり、人として会社で働いている時に、意識の無い自宅の自立人体は自宅で家事をすっかり終え待機している。
職場では人が勤務し、家では第2大脳が主体の自立人体が家事をするという、人と自立人体との分業が当たり前のようになってきた。
 自営業では、通常自分の人体を使用し人として働くが、人によっては時々、昔使用していた電脳装置に閉じこもって寝ていて、自立人体に仕事を任せている者もいた。自立人体として仕事をしているか、意識が大脳に入って人として仕事をしているかは外観では見分けがつかないが、人体だけの場合は坦々と仕事をこなすので、「今日はまじめに仕事をしている。あそこの店は本人より人体だけのほうがまじめに仕事をする」と揶揄される場合もあった。

また、第2大脳の進化による問題は、仕事の面だけに限らず、家庭の崩壊に繋がる問題にもなってきた。 
とある業者が、第2大脳を組み込んだ自立型人体妻の販売を始めた。カップルの相手が[意識が入っている人]の場合、相手との相性があわず破綻するケースもあるが、販売された自立型人体では、自分の好むように第2大脳を調整できる様にできていた。目的に応じて仕様変更可能な、都合の良い自立型人体が販売され、人同士のカップルの割合がだんだん少なくなってきた。
このように、第2大脳付き自立人体の問題は、仕事の面でも家庭生活の面でも、社会を脅かす大きな問題になってきた。

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